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NOTE : 矢部海山に分布する燐灰岩:第2章2-2燐灰岩の産状
投稿者 : solo 投稿日時: 2006-03-29 03:17:31 (755 ヒット)

          2-2 燐灰岩の産状


   矢部海山山頂部の19地点で採泥を行い、1地点で海底写真を撮影した(第2図)。
山頂部のドレッジでは、測点番号1、4、19、を除く全地点で鉄マンガン団塊や燐灰岩
が得られている(第1表)。 海山山頂部の底質は、直径2㎜以上の粒子を除くと、全て有
孔虫殻と火山砕屑物で構成されている。 有孔虫殻は1/2~1/4㎜に、火山砕屑物は、1/4~
1/8㎜に各々の粒度の極大値をもつ。 これらの底質の石灰含有量は、平均40%に達する。
火山砕屑物は、約50%の褐色火山ガラス、約25%の斜長石、約4%の単斜輝石、及び
約1.3%の斜方輝石からなり、複輝石安山岩質マグマの活動に由来するものと考えられる。
これらの鉱物の周囲に火山ガラスが付着し、それぞれ自形を呈していることから、ほとん
どの鉱物は、火山ガラスが形成されたのと同じ時に噴出形成されたものと思われる。 ま
た火山ガラスが、1/2~1/8㎜程度の粒度であることや発泡していることから、これらの砕
屑鉱物は陸上ないしは浅海において噴出し、噴煙は空中に爆発的に吹き上げられたもので
ある。 また、これらの鉱物粒子が鉄マンガン酸化物皮殻を持たないことや摩滅していな
いことから考えると、矢部海山山頂部の火山性砕屑物質は、ごく最近の火山活動により空
中噴出され、現在地点に降下堆積したものと考えられる(工藤,1974修論)。

   非常に新しい底質から白亜紀を示す化石までが矢部海山山頂には共存する訳である。
これらの分布状況は、海底写真によって知ることができる。 矢部海山山頂部における海
底写真撮影は、山頂西縁の測点26-1で行われた(第2図)。 撮影は着底位地( 26°
12.5′N,145°03.2′E,-1115m)と離底位置(26°12.3′N,145°01.8′E,-1129m)
の間、約2㎞の範囲で行われ、その高低差は14mである。 この場所は、山頂平坦面の
西端であり、約7㎞で外縁となり、北側では約2㎞程で外縁となる。 また、東方約5㎞
付近が、海山最浅所であることから、海底写真には基盤と思われるものも写し出されてい
る。 撮影された海底は、鉄マンガン酸化物皮殻に覆われた大小の円礫~亜角礫とその間
を埋める石灰質堆積物で構成される。 撮影地点に近い採泥地点(測点番号;17、18、26)
と対比した結果、円礫は鉄マンガン団塊であり、角礫は平板状燐灰岩や凝灰質シルト岩で
ある。

 第2図 採泥及び海底写真撮影地点図
                  海底写真撮影地点
                  -採泥地点
                  -深海カメラ撮影地点


 第1表矢部海山における採泥位置と底質(柴,1979)

海底写真によって、撮影地点の海底を4種に区分した。

   A.淘汰のよい鉄マンガン団塊が密に分布する地点。 ここでは、鉄マンガン団塊
の底部が堆積物中に埋没している。 これらの鉄マンガン団塊の間には、これらより数倍
の大きさを持つ板状の角礫が分布する。 この角礫は平板状燐灰岩や凝灰岩などであると
思われる(図版I-a)。

   B.基盤が露出する地点。 基盤はブロック状に割れており、その割れ目に鉄マン
ガン団塊や基盤の破片が分布する。 全ての基盤表面は鉄マンガン酸化物皮殻に覆われて
いる。 また、基盤の表面に薄く堆積物が存在する(図版I-b)。

   C.基盤に由来すると思われる鉄マンガン酸化物皮殻に覆われた板状角礫が分布す
る地点。 これらの間に、わずかに鉄マンガン団塊が認められる。 礫や団塊が全く埋没
していないことから、薄い堆積物の下には基盤が存在するものと考えられる(図版II-a)。
   D.数㎝~数10㎝の鉄マンガン団塊と礫が混在し、それらが積層する地点。 堆
積物は礫などの間にわずかに分布するだけである(図版II-b)。

   また、離底位置付近の撮影で、線構造が認められる海底が写し出された(図版III)。
この写真では、海底は層理をもつ基盤岩が鉄マンガン酸化物の被覆を受けて存在し、線構
造の認められる所で礫化している。 陸域において、このような構造は断層付近に認めら
れる。

   海底写真によると、現在の海山山頂部は、底層流の速度が速く、無堆積に近い状態
であり、底棲生物は少ない。 また、海底に分布する礫は、基盤の上に散在する形で分布
するのではなく、ある程度の厚さを有する礫層を形づくっているものと考えられる。


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